物語の構造としては、攻殻機動隊や、スカイ・クロラのときのように、戦うためにつくられた存在が、自分の存在はなんなのか、この世界は何なのか、といった問いの答えを求めて行くお話です。
きっとこの二つの問いは押井さん自身にとってものすごく重要で、引きつけられるものなのでしょう。
この世界は何なのか、という問いは、自分たちが暮らしている世界を描いた作品では意識しづらいですが、この作品のようにファンタジーで、自分たちが暮らしている世界とは違う世界を客観的に見ることによって、かなり意識しやすくなります。
あの乗り物は何なの?このシステムはなんなの?この生き物達はなんなの?と。
個人的に好きなところは、犬が非常に重要な役割を果たしていて、犬(グラとよばれる)に触れたものは祝福されるとされているところです。
クローン人間で、子孫を残す能力がなく、食事もマナと呼ばれるよくわからないボトルに入ったものを首の後ろの穴に接続して摂取している主人公たちと、クローンが禁じられていて、普通に鳥を食べる動物である犬との対比が非常に印象的で、考えさせられるところでした。